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その写真は幼い自分と大和が仲良く公園の砂場で遊んでいる写真だったのだが、小学生の時からいがみ合っている相手とのそんな写真を見せられたところで苛立つだけで。
「いずみも20歳、大人の仲間入りをしたんだから少しは歩み寄る努力をなさい!」
と無理やり写真を渡される。
げんなりしつつもさすがに目の前で破り捨てる訳にもいかないのでポケットに押し込み、逃げるように家を出た。
コンビニでアイスを買い食べながら歩く。
すぐに帰るのもな、と散歩がてら公園に向かったのは、あの写真の光景が少し残っていたからなのか偶然だったのか。
公園への階段を上っていると、奥からダンダンとボールの音がした。
そこには大和が一人でドリブルをしていて···
うわ、最悪っ!
こんなとこ来なきゃ良かった、と後悔し食べ終わったアイスのゴミを公園のゴミ箱に捨ててさっさと退散しようとした時だった。
気付かれないうちにと、意識が大和に向かっていたせいで階段を踏み外したのだ。
「いずみっ!」
反射的に声の方へ顔を向けると大和が手を伸ばしていて。
なんで、と思った。
そして次に目が覚めたらそこは病院だった。
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