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一緒に落ち、頭を打ったらしい私達は奇跡というかなんというか、症状がほぼ同じで。
こんなとこまで一緒じゃなくてもいいのに、とお互いの両親は笑っていた。
子供たちが怪我をし記憶まで失ったのにどうして笑えるのかと思わなくもなかったが、記憶喪失というにはあまりにも軽度で、相手が誰でどのように付き合っていたのかも二人とも少し話すだけで鮮明に思い出せたからというのが大きかったのだろう。
「あの、大和···くん?」
「え、あ、大和でいいよ、幼馴染みなんだし多分そう呼んでたんじゃないかな」
「あ、じゃあ私もいずみ、で」
そんな会話をした。
お互いの事は何もまだ思い出せず、そんな二人を見て驚いた両親達。
「じゃあ、その、大和、ありがとう助けてくれて」
「いや、助けてくれたのはいずみかもだし」
「そんなことないよ!階段から落ちた私に手を伸ばしてくれた大和の顔はなんとなく覚えてるから」
「そう、だった···かも?でも結局二人とも落ちたしな、守りきれなくてごめんな」
二人の様子を見た両親達は先ほどより更に目を見開いて。
「?」
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