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最終話.後遺症か、擦り合わせの結果なのか
“本音と建前の擦り合わせって、一回でいいのかしら?”
はじめての交わりにまだ息が整わないが、それでもそこは気になる訳で。
私に覆い被さったまま、息を整えている彼のリボンへ手を伸ばした私はその目隠しをそっと外した。
「テオドール⋯?」
小さく名前を呼ぶと、意思の強い彼の黄目がしっかりと私を捉えて。
「⋯やっぱり、何よりも綺麗だな」
「やだ、魔法薬の効果健在じゃない」
「なっ、素直な感想を述べただけだろ!」
「貴方が素直な事を言うところが効果発動してる証拠ー⋯って思ったけど、本当に擦り合わせできたの?」
売り言葉に買い言葉、というような調子で言い合いをしそして言い合いが成立した事で魔法薬の効果が切れたのだと理解する。
「だからそう言ってるだろ」
「言ってないわよ。テオドールが言ったのは普段の貴方なら言わないだろう違和感しかない褒め言葉よ」
「俺の評価どうなってるんだ!?俺だってその、⋯す、好きな女くらい誉められる!」
開き直ったかのようにそう主張され、その子供のような言い分がおかしく私はぷっと吹き出して。
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