2.拗らせないで、壊れないで

2/7
前へ
/45ページ
次へ
意味のわからない状況に、私はただただ呆気に取られるしか出来なくて。 “一滴で素直になれる薬を一瓶丸ごと飲んだ影響で本心が全く隠せなくなった⋯って、事、よね?” 理論的に考えればそうなのだろう。 しかしこの表情と声色だけを見ればむしろ憎まれているとしか思えなくて。 「⋯やっぱり誤作動で壊れました?」 「君の前では俺の心臓は壊れているともいえ、るぁぁぁあッ!」 「ひぇっ!?」 突然床に突っ伏したテオドールが、呻くような声を出した事に驚き私の肩がビクンと跳ねる。 “今度こそ壊れた!!?” 思わず息を呑み様子を伺うと、苦しそうに唸りながらボソボソと何かを話していて。 「な、なんです?聞こえませんが⋯」 「⋯、なんだ⋯っ」 「え?」 「何の、薬、かと⋯っ!聞いて⋯っ」 冷や汗だろうか、じわりと額に汗を滲ませた彼が床に這いつくばったような体勢で聞き、私は慌てて答える。 「い、一滴垂らせば素直になれるという魔法薬です。アカデミー時代の友人に作って貰って⋯その、少しでもテオドール様と仲良くなれれば、と⋯」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加