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「次男で、侯爵家を継がないとしても王宮勤めは確実だと言われていたし実際打診も来ていた。だからいつも色んな人が俺の意思に関係なく群がってきてた」
「む、群がる⋯」
思い出すのはアカデミー時代の彼の人気。
確かに男女関係なく媚びようと群がってはいた。
が。
“言葉のチョイスよ⋯”
なるほど、彼の口の悪さは元々だったのか、と変なところで納得する。
「どれだけ冷たくあしらってもそれがクールだとか言ってどんどん人が集まってくるのも本当に鬱陶しかったんだ」
「鬱陶しかったのね⋯」
「だってそうだろ。もし俺が侯爵家の人間じゃなかったら?魔法の能力が低かったら?」
「まぁ、中心には⋯いなかったかも?」
“というより、感じの悪い最低男、とか呼ばれて逆に輪から外れていたかもしれないわね⋯”
口が悪いのが元からならば尚更だ。
「それなのにヘラヘラヘラヘラ近寄ってきて、俺を褒めるばかりで気持ち悪い。俺の表だけを見て、それが実際どんな魔法かも知ろうとしないくせに」
「そ、そう⋯?テオドールの魔法は美しかったからまぁ、仕方ないかもしれないけれど⋯」
美しいと表現すると、一瞬彼の体が強張る。
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