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その手探りしている左手にそっと顔を預けるように頬を触れさせると、そのままゆっくり彼が顔を近付けてきて。
「んっ」
それは、魔法薬の効果が発動していない『いつもの彼』とのはじめてのキスだった。
「ふふ、なんだかちょっと照れくさー⋯んんっ!」
どこか気恥ずかしくて口を開くと、すぐさま塞がれ少し驚く。
私を気遣うように重ねた口付けではなく、それは私が欲しくて仕方ないというような彼の劣情が見え隠れしていたからでー⋯
“こ、今度こそ本当に私、シちゃうのね⋯!?”
高鳴る鼓動は見ないフリし、彼の視界を隠したまま彼から激しく落とされる口付けに身を委ねるが、何故か突然口付けが止み⋯
「⋯?」
「⋯り、両手が塞がってて脱がせられないんだが⋯」
「!!!そ、そうね!?あっでも私が自分で脱いだらテオドールと目が合っちゃうわね!?」
「自分で脱⋯っ、あ、いや、そうだな、俺が脱がしたい⋯じゃなくてだな、あーっと⋯」
「それがテオドールの本心なの?」
「むっつりで悪かったな!」
“それは言ってないわよ”
なんて内心つっこみ、込み上げる笑いを我慢せずにくすくすと笑う。
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