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「ま、まぁ、酒と娼館に入り浸りで家を追い出されたとか奥さんに何度も逃げられた伯爵様より年上とか⋯とんでもない人ばかりでしたけど⋯」
「その中で唯一まともだったのがテオドール様よ、逃せられないわ⋯」
ロヴィーシャ家は伯爵の爵位をいただいているとはいえ、決して裕福な方ではなかった。
そんな伯爵家に、“次期伯爵として”婿入りするのではなく伯爵を継ぐ娘の“ただの婿として”こようなどという奇特な人は所謂『難アリ』ばかりで。
そしてそんな中唯一まとも⋯どころか、格上の侯爵家であり魔法アカデミー在学中からもその優秀さ故に将来を期待されていたテオドールが申込んでくれたのだ。
“ま、まぁ私達の相性に難アリだったんだけど!”
それでもこんな好物件逃す訳にはいかない訳で。
「次男だからユースティナ侯爵家は継げないとしても、彼なら当主としてどこにでも婿入りできたはずなのよ。それを当主としてではなくただの婿として私と婚約を結んでくれたんだから、私が折れなくちゃだわ」
そう頭では理解しているのだが、ツンツン来られたらツンツンしてしまう。
“せめてもう少し素直になれたら⋯”
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