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そんな彼とは婚約者として毎食一緒に取るようにしているのだが、口を開けば毒ばかり吐かれるのでいつしかお互い全く口を開かなくなった。
“でも、この薬さえあれば何か変わるかもしれないわ”
彼の毒に言い返すからまた別の毒を吐かれるのだ。
対抗せず、素直に可愛く返事が出来たら⋯という願いがこれで叶う。
“早くしないとテオドール様が来ちゃうわね”
アニーに頼み先に紅茶を用意して貰った私は、その紅茶に素直になれる魔法薬を一滴垂らそうとした⋯その時だった。
「⋯何をしている?」
「へっ!?て、テオドール様!?」
仕事がいつもより早く片付いたのか、気付けば隣に立っていたテオドールが酷く不快そうな顔で私の手に持つ小瓶を見ていて。
「これは、その⋯」
「はっ、まさか俺に毒でも盛ろうとしていたのか?」
「ど、毒!?」
“精神的な毒は貴方ですけど!?”
なんて内心思うがそんなこと口に出せる訳もなく。
「それは余りにも失礼では!?これはテオドール様ではなく、私が飲もうとしていたのですッ!」
「は?毒を?」
「ですからっ」
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