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「……老後の面倒? そ、そうか。嬉しいよ」
子どもらしくない言動に、父親は唖然としながら言葉を漏らす。同じ年の友だちが近くにいないせいか、由乃は使用人のヨネや、母親の美幸とばかり話している。そのため、妙に現実的で論理的な物言いをすることがあった。しかし、褒められて、えへへと照れる娘は、確かに十歳の可愛らしい子どもだ。
お嫁様に選ばれても、選ばれなくても、由乃が幸せであればそれでいい。
蜷川徳佐は、そう願わずにはいられなかった。
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