痩せると決めたらモテまして〜ジムで出会った筋肉イケメン御曹司はぽっちゃりな私への溺愛に悩まされているようです〜

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* 「ふう」 ひと通りジムのプログラムをこなしてから、私は更衣室へと向かった。 フィットネスバイク、マシンによる筋トレ、ランニングマシンを繰り返すと大量に汗が出る。シャワーを浴びてから着替えをし、自宅に帰るのが日常。 その日もいつものように、更衣室へと歩いていくと、男性更衣室の入り口から1人の中年男性が出てくるのが見えた。私とすれ違い、少し遠ざかっていく。 「すみませんが、タオル……忘れてますよ!」 声でハッとした。 振り返ると男性の後ろを追って、あの有名人な柳田さんが出てくるではないか! 「あ、すみません。ありがとうございます」 「いえ、じゃあまた!」 男性に忘れ物のタオルを渡し、お互いが挨拶を交わす。 なんて良い人なんだ〜と、ぽやんと見ていると、柳田さんが戻ろうとしたところ、私に気がついたようだ。 「あ! 優里さん! こんにちは、こんな格好で失礼」 そうなんです。 柳田さんは下はスパッツと半パンを履いているが、上半身は半裸のまま。私はアセアセ目のやり場に困りながら、こんにちはと挨拶をした。 「優里さんはもうお帰りですか?」 「は、はい」 「私は今からです」 「……そうですか」 なんて他愛のないやり取りをしているうちに、ちらちらと柳田さんを見ていたら。 なんという完璧な身体の造形。盛り上がる筋肉、そして所々に浮かぶ血管や筋。ミケランジェロのダビデ像よりも荒々しいが、それほどムキムキではない、ちょうどいいくらいのスタイル。 はいこれ失神するやつー。 しかも長身で足も長いとなると、私がぽやぽやと眺めてしまうのもお分かりいただけると思います。 (なんて素晴らしい筋肉、肉体美なんだなあ) めっちゃ理想のボディ。あ、ヨダレが。 「ところで優里さん、こんなことお訊きしたら大変失礼だとは思うのですが、優里さんはダイエット目的で通っていらっしゃる?」 「たた体型は、みみ見ての通りですから……もう少し痩せたいなと思いましまして」 どうしてもキョドってしまううぅ。 「そうですか。ビフォーアフターの写真ってもう撮られました?」 筋肉美の世界にどっぷりはまり恍惚に浸っていたけれど、色々話し掛けられてそこではっと自分を取り戻した。 「?? それはなんですか?」
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