痩せると決めたらモテまして〜ジムで出会った筋肉イケメン御曹司はぽっちゃりな私への溺愛に悩まされているようです〜

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* 「なんか柳田さん、引いてたなあ」 やっぱり誕生日にひとりでホールケーキってのが良くなかったのかなあ。 ジムの帰り道、コンビニに寄る。明日の朝のパンと低脂肪牛乳を購入、地獄のスイーツコーナーを脱出し、トボトボと帰路に着いた。 最近、甘いものを食べていない。誕生日にホールケーキを丸ごと食して呆然としたのち、我に返ってから食事以外の甘味を口にしていないからだ。 「もうそろそろ禁断症状が」 生クリームやソフトクリームなどの白いものが無性に食べたくなる。白いもの症候群ってヤツですね? 「頑張ってる自分にたまにはご褒美もいいよね。明日カフェにでも行って、ミニパフェでもたーべよっと」 それにしても。 (ホールケーキの話をした時の柳田さん、ふうぅってロウソクの火を消すあのお口、可愛かったなあ) あまりの可愛さに思わずガン見してしまった。あの全身の素晴らしい筋肉がカチカチすぎて(触ったことはないが硬いはず)、そのギャップで唇がひじょーに柔らかく見えたのだろうか? トリックアート的な。 なんてことを考えながら、家に帰った。 「パフェ、楽しみ〜」 パフェのことだけを考えながら、私は眠りに就いた。 翌日は休日。朝、太陽が昇るとともにパフェのことだけを考えながら起きる。 そしてお昼過ぎ、パフェのことだけを考えながら、パジャマから私服に着替えて、外出した。 地方雑誌に載っていて、かねてからチェックしていたカフェへと直行。中は広々としてオシャレな造りだ。テーブルについて、ミニチョコパフェを注文し、ふうと息をついてからお冷やを飲んだ。 と。 どこかから視線を感じる。 斜めに視線を滑らせると、なんとそこにあんぐりと口を開けた柳田さんがいるではないか! え?え? けれど、柳田さんはひとりではなかった。柳田さんの向かいには、女性が座っている。絹糸のようにサラサラなロングの髪が、まるでシャンプーのCMに出てる女優さんのようだ。花柄のワンピースにブランドのバッグ、赤いハイヒール。 後ろ姿ではあるが、華やかなオーラ、存在感がハンパない。立ち昇る匂いすら、高貴なものであろうと推測される。 柳田さんは、私を認めると、腰を浮かせてそろっと立ち上がった。 「ゆ、優里さん、こんなところでお会いするなん……て」 「こんにちは。ぐ、偶然ですね」 私も思わず立ち上がり、頭を下げた。すると、女性が振り返り、こくっとあごを打つ。 目が覚めるような美人だった。 (柳田さんの彼女かな……) イケメンハイスペ筋肉祭りな柳田さんのお相手に相応しい女性だ。うっかり自分との差を思い知らされてしまうほど、その人はか細く、淑やかだった。 「お待たせしました」 ちょうどそこで、ミニチョコパフェが運ばれてきた。私は内心助かったと思いつつ座り直し、運ばれてきたスプーンを手に取った。 けれど。ちょと待て。 柳田さんがめっっっっちゃ見てる。凝視!!
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