27章 猛獣使い

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27章 猛獣使い

さて オラ営指導してくれた冬人さん (背中に立派な登り龍が居るらしいが) 仲間内で《猛獣使い》と言われてる。 「なんで《猛獣使い》なんすか?」 「そのうち分かる」 とミカジメ室長。 冬人さんのヒメは 派手なキャバ嬢より いかにも大人しい女の子タイプが多い。 いわゆる「ぴえん系」もいない。 なのに、猛獣使い? 「ぴえん系」女子っていうのは 地雷系ともいわれてる。 判で押したように同じファッション。 そう、重ねて言いますが 彼女たちは(同じような)じゃなくて 全く同じファッションとヘアスタイル。 実は全員、同一人物じゃないかってくらい 見分けがつかない。 僕の初ヒメ、ウニュちゃんも このぴえんファッションだ。 このタイプ 歌舞伎町にはいっぱい居て ホスクラにもよく来るけど 冬人さんは明らかに避けてる。 つまり、たまたま初回に付いても 絶対気に入られまい、としてるのがわかる。 僕はそのことを それとなく冬人さんに訊いてみた。 「あの子達、歌舞伎町に多いですよね どうして地雷系って呼ぶんですかね?」 「危険だからじゃないの?近づくと」 「でも地雷っていうのは パッと見、有るのが分からないから危険なんでしょ? あの子達は、私って危険ですよーって 思いっきり主張してるじゃないですか みんなおんなじ格好して」 「まあ、そうだけど 服は単に流行りでしょ」 冬人さんは冷めた口調で言った。 「服は流行で変わるけど あの手のカマッテちゃんは 歌舞伎町に常にいるのよ。 ホスクラに来る女の子は 基本いつの時代も変わんない 普通の男じゃ扱いきれない子。 それに応えてあげるのが 僕らの仕事だからね」 なるほど… 「でも、冬人さん 何気に避けてますよねー (猛獣使いのくせに?)」 「ふふ、わかる?」 「わかりますよ」 「まあ… 俺、ぴえんに刺されたたことあっから一回」 ひぃいい…刺され…🔪 シャレになんねえよ! それ以上は僕も訊かないし 冬人さんも話してはくれなかった。 ホストは何があっても お客様の悪口を口にしないのが鉄則。 でもホストだって人間。 心では色々思う。 でも、一旦口に出したら態度にも出るし どこからか絶対ヒメに伝わるからね。 まあ、僕だって (私ヤミ深いです)って 主張してるタイプの女 ハッキリ言ってめんどくさいから やっぱり避けるしね。 僕のヒメ、ウニュちゃんは変わってるけど そういう病的な感じはない。 年齢も一般的なぴえんより大人(だと思う) 「冬人さんのヒメは 大人しそうなりヒメが多いですね」 「そう見えるだろ?」 含みのある冬人さんの言葉の意味を そのあと僕は、実際知ることになった。
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