2章 天使降臨

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面談が終わると 控室みたいなところに 案内された。 幻想的な店内と違って そこは現実そのものだった。 そっけない照明 ロッカーが並んでるだけで椅子も何もない。 売上、指名の週間ランキングが これ見よがしに張り出されていた。 大きな鏡の前で数人のホストが ユーリさんに体育会系の挨拶すると 立ったままメイクを続けた。 前髪をピンで止めて ファンデーションを塗ってる姿は 女子と変わらない。 他の数人は 壁に寄りかかって 真剣な顔でLINEやメールをしてる。 指名の予約が取れていないホストは こうやって開店ギリギリまで 女の子たちに営業をかけていると 後で知った。 その中の1人に ユーリさんが声をかけた。 「タイガ お前今日、同伴ないの?」 「ドタキャンされました 痛いっすわ〜 指名予約は3卓入ってますけど」 「じゃさ、悪いんだけど この子今日タイニュウなんだわ ヘアメイク連れてってあげてよ」 「あ、はい、わっかりました 『メタモルフォーゼ』でいいですか」 「いいよ じゃ、イケメンにしてもらってな!」 ユーリさんは僕の肩をポンと叩いた。 「お、お願いします」 僕はタイガさんに頭を下げた。 ユーリさんもタイガさんも 僕よりずーっと年下 息子に近い年齢だろう、きっと。
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