4章 膝まづいて、手を胸に…

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その後も僕は自分のグラスを持って 言われるままに卓を移動。 緊張してお話もできないし お酒も作れない。 ただ先輩ホストさんたちが お客様と楽しげにお話しするのを聴いて ニコニコするのがせいいっぱい。 あっという間にその日の接客は終わった。 3人の女の子に「可愛い」という言葉を 1人には「カッコイイね」と言ってもらった。 「僕に…女の子を楽しませる このお仕事出来るかな…」 カッコいいと言ってくれた女の子に 僕は思わず問うてしまった。 「出来るよ 私、タローくんと居て楽しいよ」 その子はそう言ってくれた! そっか!・:*+.\(( °ω° ))/.:+ 思わずニヤニヤしてしまう。 僕は今まで いろんなパートを掛け持ちして来た。 今も、まだ3つしてる。 早朝はスーパーの品出し、力仕事。 昼、回転寿司の厨房、足が棒になる。 夜、宅急便の入力、目がショボショボして眠い。 家に帰ると気を失ったように寝て 翌朝、目覚ましでゾンビのように起きる。 息子は息子でバイト掛け持ちしてる。 それでも、学費の他に 美大では画材や実費もいっぱい要る。 どう考えても賄えない。 もちろん今までも もっと高収入の仕事を考えたこともある。 年齢食ってても こんな僕でも 生まれつき「女」ってだけで 売れるものはあるからね… でもさ それだけは 出来ない、と思ってきた。 いや別に、仕事を差別してるとかじゃない。 できる人はやればいいと思う。 ただ僕には、どうしてもできない。。ってだけだ。 ところが! 女相手に「オトコ」を売る仕事なら 僕にもできる気がした。 ミカジメさんも、できるって言った。 「タロー、なかなかイイよ! 明日から来れる?」 イレズミ天使のユーリさんが 控室に戻った僕に訊いてきた。 「はい、よろしくお願いします!」 こうして 熟女ホスト☆タロー 歌舞伎町デビュー果たしました。 161a55d1-14fa-4bbf-925e-1149b2148b38
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