1章 初夏、 チーズケーキで釣られた

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意外に優しげな話し声聴きながら 僕は黙々とケーキを食べ終わり アイスコーヒーの溶けた氷まで全部飲み干して やっと落ち着いて、男のくれた名刺を 改めて見た。 統括室長 美嘉締亮(みかじめ りょう) ゲッ!物騒な名前。 パッと目に入ったのは 黒地に銀の箔押しの洒落たロゴ 《El Dorado》 (このロゴ、見たことあるなあ) 歌舞伎町エルドラド・セノーテ 2号店エルドラド・ヴィーナス 3号店エルドラド・ルナ エルドラド・グランデ2部 銀座エルドラド 池袋エルドラド 大阪南エルドラド 仙台、名古屋、札幌、博多、台北 へー!すごい ホストクラブの大企業? 「どう?興味湧いた?」 頭の中に、また 500万💲の文字が ぺコンペコンと点滅した。 「はあ…興味無くはないです でも…僕… …………… 中年だし 女なんですよ」 僕がそう答えると 男は両手をテーブルの上で組んだまま 鳩がBB弾食らったみたいな顔で ジーーっと僕を見返した。
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