24章 店内BL御法度です

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24章 店内BL御法度です

その月 僕は担当指名10を達成した。 売上も月100万オーバー🙌 売上100万上がっても 給料はその半分。 さらにそこからヘアメ代、交通費 女の子との店外に使うお金引くと 手取りは… 生活費を切り詰めても 500万貯めるまでの道のりは遠い。 でも、まあ 目標クリアのボーナス💰をもらい タイガさんが Tシャツのオサガリをくれた。 オサガリと言ったって 息子のとはわけが違う。 ハイブランド✨セリー○のロゴTシャツ✨ サイズはだいぶ大きいけど これ着ると断然 売れっ子ホストっぽい! さっそく着て出勤。 最初に会ったルキに見せた。 「ねえ!見て! タイガさんにもらったコレ…」 と話しかける。 喜んでくれると思ってたのに… ルキはフワフワした金色の前髪を ツンとして払い 切れ長の半眼で 刺すように僕を睨みつけ 顔を背けて行ってしまった。 え?何か気に障ること言った? やっぱり僕を嫌ってる? 先に指名がついて 売上が上がったことが そんなに気に入らないのだろうか。 凹む~。。。 気を取り直し 控室に入ってゆくと ルキと入店一年目の先輩たちが 四人で楽しそうにワチャワチャしてた。 なんとなく、いつものようには 僕は入っていけない。 そこにタイガさんも入ってきた。 「楽しそーだな? さぞかし今日の予約 いっぱいあるんだろうな? まさか、お茶挽きじゃねーだろうな?」 お茶を挽く、とは 指名が一本も入らないこと。 「俺は…同伴予定だったけど 急にカレシに呼び出されたそうで」 ルキが言いかけると 「は?オマエ寝呆けてんの?」 おお、来るぞ来るぞ。 「ホストが 彼氏より順位、下でどーすんだよッ!👹⚡️ 大体、お前ら大学生みたく戯れあうな! ホスト同士はみんなライバル🔥 そんなことだから 彼氏ごときに負けるんだよッ💢」 「ルキ、お前ちょっと来い」 「はい」 ルキは神妙な顔をして タイガさんにくっついて 控室から出て行った。 ルキは新人の中でも若くて ルックスがダントツだから 初めから写真指名がバンバンついたが それが本指名に繋がらず 繋がっても同伴をしくじって 女の子を怒らせたりして すぐ切れてしまう。 ルキのチームリーダー冬人さんが タイガさんに 話してたことを思い出した。 「何だかあいつ俺の手に負えないよ 全然心開いてこないんで」 確かに ルキは、どこか女の子に対して いや、ホスト仲間にも 冷ややかな目を向ける時があった。 タイガさんにカツ入れられて しんとした控室。 幹部の中でもタイガさんは 新人の教育の勘所を抑えてる。 プレイヤーとしても ナンバー入りは毎月安定してる。 だからこそ、タイガさんの言うことは いつでも若いホストたちに響く。 僕たちはヘアメも終わり アクセサリーを付け 気分が仕事モードにカチリと切り替わった。 さあ、今夜もヒメを幸せにするぞ。 そして、稼ぐぞ! 僕はアイスコーヒーが飲みたくなって コンビニに行こうと フロアの螺旋階段を昇って行った。 面接を受けに、初めて店に入った日 度肝を抜かれた宙に浮いてる螺旋階段も 超豪華なシャンデリアも もう見慣れちゃったな… なんて思いながら 紫色の絨毯を踏んで入口のドアの手前 受付カウンターの辺りは まだ照明が全部点いていない。 開店前は一番ヒトケが無い場所だ。 その、薄暗いの中に立ってる タイガさんの斜め後ろ向きが見えた。 あれ、こんなところで? その首に、すうっと 白い細い腕が ツタのように這い伸びて巻き付いた? ええっ!女の子? びっくりしすぎて 僕は思わず カウンター脇の真紅のカーテンの陰に隠れた。 タイガさんと向き合って つまりこっち向きで立ってるのは 顔は半分しか見えないけど…? 女の子、じゃなくて 靄のように揺れる金髪でそれとわかる… ルキだった。 タイガさんの首に巻き付けたルキの腕は 黒いサテンのシャツの袖がめくれ上がり 真っ白な肌が 青い照明の中に 艶めかしくこぼれ出ている。 うつむいたタイガさんの しっかりした首の向こう側 ルキが小さい顎を捩じり上げ… 濃厚な……キス はぁああ???? キス⁈ ( ゚Д゚) 「キレイなうちに、僕を愛して」 ため息のようなルキの声が はっきり聞こえた。 あんな可愛い顔をして 声が低いのがまた、色っぽい。
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