24章 店内BL御法度です

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タイガさんとルキがキス…… 僕の脳神経の伝達物質は 混乱したまま止まったが タイガさんがパッと ルキの腕を振りほどき 体を引き離したのが見えて 脳が再稼働しだした。 ルキが殴られる!と 僕は思わず首をすくめた。 でもタイガさんは微動だにしなかった。 美しくセットされた髪、一筋動かさずに ただ低い声でルキに向かって 静かに話しだした。 見上げて聴いているルキの瞳が 濡れた宝石みたいにキラキラしてる。 は~~~ なんて、キレイなんだよ…✨ カーテンの陰から見ている僕は 話の内容は聞こえないが 淡々と説得するように タイガさんが話していることだけ わかる。 息を殺し 心臓をドキドキさせて 僕は思った。 知らなかった ルキは… タイガさんのことが好きだったんだ… なるほど、そうすると すべて合点がいく。 なんやかや、僕が タイガさんに気にかけてもらってるのが 面白くなかったのかもしれない。 タイガさんはただ 僕をなんとか 「ホストとして売りだす」という 上からのミッションを遂行してるだけだけど 僕は一応「女」だから、ルキから見たら 許せないことがあったんだろう。 「キレイなうちに……」 というルキの切ない言葉が思い出された。 ルキは今年20歳になるそうだ。 確かに20を過ぎたころから 男の子は大人の男へ本格的に変化してゆく。 それは成長かもしれないけど ルキみたいなタイプの男の子には 何かを失うことなのかもしれない。 胸が締め付けられた。
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