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25章 ルキの豹変
あの光景が
頭の中を万華鏡のようにグルグルしてる。
銀色のドア
真紅のカーテン
紫の絨毯…
ルキのけぶるような金髪
ビクともしないタイガさんの白いシャツの背中
キラキラ潤んだルキの瞳
………🌹………🌹……(妄想)
あああ、いかんいかんいかん!
あの後、2人は何事もなかったかのように
フロアに戻って
普通に営業が始まった。
そして、あの日以来
ルキは確かに変わった。
指名が急に増え
接客も店外もアフターも
開店前の営業もとても積極的になった。
本気出したルキはすごかった。
「オオバケ」とはこのこと。
元々、女の子たちは
夢の国の王子様みたいなルキを
放っておかないから
ルキの接客が変われば
あっという間に
僕なんか及ばない勢いでナンバー入りした。
一体何が起こったのか。。。
♦♦♦♦︎
「ルキ、変わりましたね」
ルキのチームリーダー冬人さんに話しかけた。
「タイガがスイッチ押してくれたんだよな」
僕はドキッとして冬人さんの顔を見た。
タイガさんとルキのこと
知ってるのかな。
「タイガはね、鵜飼いだよ、鵜飼」
「ウカイ?」
「鵜を操って魚を取ってこさせる鵜飼」
ああ!
「飴と鞭
たまに『ご褒美』ちらつかせて
女の子だけじゃなく
男の子も結局ちゃんと動かすからね。
プレイヤーとしても一流だけど
そのうち教育の幹部になるんじゃない?」
そうか……僕のことも
褒めたり、詰めたり
ボーナスちらつかせたりして
結局100万売らせたもんな。
感謝しかないけど
ルキにはどんなボーナスちらつかせたのか
……
もしかしたら
ノルマ達成したら「愛してやる」って
ご褒美提示したのかも。
いや、そうに決まってる。
タイガさんなら平然と
顔色一つ変えずに言いかねない。
そして、ホントに
そうするのだろう。
………🌹🌹……🌹🌹🌹……(妄想)
🌹🌹🌹🌹
妄想妄想妄想………
いかんいかんいかん!
僕は
いつも通りスマートに接客するタイガさんの
端正な横顔を見た。
タイガさんおそるべし。
冬人
「ところでタローは売上のびてんの?」
タロー
「なんか……伸び悩みです」
「え、なんで?初回指名増えたじゃん」
「うーん、今担当10なんですけど
管理にメチャクチャエネルギー使って
キャパオーバーになってます」
「中年だもんな、わら~
でも10でキャパオーバーって
なんでそんな疲れんの?
まさかの『鬼枕』?」
「違いますってっ!」
そうだ、今の状態を
冬人さんに聴いてもらおうと
僕は思った。
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