25章 ルキの豹変

1/1
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ

25章 ルキの豹変

あの光景が 頭の中を万華鏡のようにグルグルしてる。 銀色のドア 真紅のカーテン 紫の絨毯… ルキのけぶるような金髪 ビクともしないタイガさんの白いシャツの背中 キラキラ潤んだルキの瞳 ………🌹………🌹……(妄想) あああ、いかんいかんいかん! あの後、2人は何事もなかったかのように フロアに戻って 普通に営業が始まった。 そして、あの日以来 ルキは確かに変わった。 指名が急に増え 接客も店外もアフターも 開店前の営業もとても積極的になった。 本気出したルキはすごかった。 「オオバケ」とはこのこと。 元々、女の子たちは 夢の国の王子様みたいなルキを 放っておかないから ルキの接客が変われば あっという間に 僕なんか及ばない勢いでナンバー入りした。 一体何が起こったのか。。。 ♦♦♦♦︎ 「ルキ、変わりましたね」 ルキのチームリーダー冬人さんに話しかけた。 「タイガがスイッチ押してくれたんだよな」 僕はドキッとして冬人さんの顔を見た。 タイガさんとルキのこと 知ってるのかな。 「タイガはね、鵜飼いだよ、鵜飼」 「ウカイ?」 「鵜を操って魚を取ってこさせる鵜飼」 ああ! 「飴と鞭 たまに『ご褒美』ちらつかせて 女の子だけじゃなく 男の子も結局ちゃんと動かすからね。 プレイヤーとしても一流だけど そのうち教育の幹部になるんじゃない?」 そうか……僕のことも 褒めたり、詰めたり ボーナスちらつかせたりして 結局100万売らせたもんな。 感謝しかないけど ルキにはどんなボーナスちらつかせたのか …… もしかしたら ノルマ達成したら「愛してやる」って ご褒美提示したのかも。 いや、そうに決まってる。 タイガさんなら平然と 顔色一つ変えずに言いかねない。 そして、ホントに そうするのだろう。 ………🌹🌹……🌹🌹🌹……(妄想) 🌹🌹🌹🌹 妄想妄想妄想……… いかんいかんいかん! 僕は いつも通りスマートに接客するタイガさんの 端正な横顔を見た。 タイガさんおそるべし。 冬人 「ところでタローは売上のびてんの?」 タロー 「なんか……伸び悩みです」 「え、なんで?初回指名増えたじゃん」 「うーん、今担当10なんですけど 管理にメチャクチャエネルギー使って キャパオーバーになってます」 「中年だもんな、わら~ でも10でキャパオーバーって なんでそんな疲れんの? まさかの『鬼枕』?」 「違いますってっ!」 そうだ、今の状態を 冬人さんに聴いてもらおうと 僕は思った。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!