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ホストたちは
真面目な学生みたいに
テーブルやグラスの曇りをチェックし
丁寧にクロスで拭き取ったり
おしぼりを一つ一つ綺麗に巻いて
トレイに並べていた。
彼らが優等生と違うのは
袖捲りした腕に刺青がチラつき
首筋にゴールドのチェーンが
何重にもぶら下がっている点。
ぼうっと見惚れてると
「どーも!」
と明るい声がして
まるで10代にしか見えない
殆ど白に近い金髪の男の子が
トンと僕の前に座った。
へ?支配人が来るって聞いてたけど?
黒いライダースジャケットを肩にサラリとかけ
中に着てるサテンの白シャツの胸元には
鮮やかな牡丹の刺青…
CH◯NELの金のネックレスが煌めいた。
顔は、そう…
お人形のよう、としか言いようがない。
僕は思わず目が泳いだ。
「支配人の天使ユーリ(あまつかゆーり)です
よろしく!」
あまつか…
ああ、通りのデカい看板に出てた人!
天使って書いてアマツカって読むんだ。
「よろしくお願いします!
き、綺麗な顔…」
思わず口をついて出てしまった。
「そう?ありがとう
君もカッコイイじゃん、女の子みたいな顔だね」
そのエンジェルは、お花のように笑った。
「う、お、女です僕」
「あ〜そうだった、まじスゲー!
でさ、キミ源氏名どうするよ?」
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