19人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
そうだ、ゲンジナ!ってもんが要るんだった。
「全然考えてませんでした…すみません
要りますよね」
「今日から要るよ、女の子に自己紹介するでしょ
例えば…好きなゲームとか
アニメのキャラとかないの?」
「………」
ゲームはしないし
好きなアニメは『ちびまる子ちゃん』だけど。
沈黙してユーリさんの顔を見てると
ふと、現実にかえる。
(僕一体、ココでナニしてるんだっけ?)
急にそんな冷静な気分になる。
子持ちの中年女が
ホスクラで自分のゲンジナ考えてる状況って
まるで、竜宮城に迷い込んだ、あれは確か…
「ウラシマタロー…」
と独り言をつぶやいてしまった。
「ウラシマタロー?
…じゃ、タローでいっか」
「あ、はい」
混乱のあまり
僕は頷くのがやっとだった。
「タローくん、キミなかなか面白いね!」
ユーリさんは
再び、天国に咲いてるお花のように笑った。
最初のコメントを投稿しよう!