呪道

アキばあの話

　そらそうやわね。あの道に誰かも知らん人が埋まっとって、そん人がずうっと眠っとった場所ながいからねえ。そこを歩くいうんは、そん人の魂を踏みつけるようなもんやろ？　だから、そんながやったら、もうあの道は通らんようにしてあげんまいいうてね。子どもらにも通ったらあかんぞいうて言い聞かせて、呪いいうよりは、わしらは神聖なもんとしてあつこうとったがよ。

　けど、噂っちゅうんは恐ろしいモンで。誰が言い出したか知らんけど、あの道は呪われとる、あそこを通ったら恐ろしい目にあうっちゅう噂がインターネットで広まってしもうたが。そっからながいよ。あの道が呪道って呼ばれるようになったんは。

　テレビ局とかが取材にも来たわいね。名無しの白骨死体の正体は、とかいうてねえ。もしかしたら、自殺でも遭難でものおて、村の誰かが殺して埋めたがじゃないかとか、好きなこと言うとったわ。

　さっきも言うたけど、わしらは神聖なもんとしてあの道に足を踏み入れんようにしとったがに、そうやって外モンがどかどかとあの道に入ってくるもんやさかい、それで、眠っとった魂が揺り起こされたがやないかね。

　あんたらも聞いたやろ。土ん中から手が出てくるって。

　わしらは今も昔もあの道は通らんから、手ぇが出てくるかどうか、だあれも知らん。通ってみんとわからんがよ。