第1章 君を知る旅へ…。

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第1章 君を知る旅へ…。

西暦260年07月01日。 晋を建国した司馬師の皇后・紫。 しかし… 紫は古代中国の産まれではなく… 元々西暦2024年〈=現代〉に生きる 女性でした。 時は西暦2024年05月11日〈土曜日〉 山川紫「今日もお仕事を頑張るね。」 山川梓紗(あずさ)「宰良苑もあまり良い噂は聞かないけれどお金を貯めて社会勉強も出来るから頑張ってね。」 山川梓紗は宰良苑に入居している 利用者のケアをしているケアマネジャーで山川 紫の実母です。 紫「お母さん、あまりうわさ話には加わらない方が良いよ。うちも派閥争いとかそれなりにあるから…。」 紫が働いているのは、 三重県志摩市阿児町鵜方にあるグループホーム・宰良苑(さいりょうえん) 紫「私はもう鳥籠の中にいた住人ではないの。自由を得た分、もう庇護はないのだから…」 9年添い遂げていた紫の元旦那である 坂本優樹は愛知県名古屋市の市役所で城のPR活動などをしている簡単に言えば地元活性化事業を担当していた職員でした。 歴史が大好きな紫が名古屋城の観光に行った際に出逢い紫の一目惚れで交際が始まりそのまま勢いで結婚したものの… 優樹は紫と年齢は同い年だったものの学年は紫の1級下でした。 坂本優樹「紫は俺の命令だけを聞いていたらそれで良いのだから…」 だからという訳ではありませんが、 優樹は自分の稼いだ給料の全てを ゲームに費やして生活費は紫頼み。 紫「いつか…側にいたら… 優樹はきっと私の事を愛してくれるはずだから…」 そんな生活で紫は自律神経失調症となりそれを案じた母親である梓紗からの説得もあり… 紫「優樹、もう堪えられないから… さようなら。もう、無理です。」 紫は優樹と別れる事を決意しました。 優樹「紫?考え直してよ… 紫が居なくなったら俺は生きられないのに…」 まさに金の切れ目は縁の切れ目とは よく言ったものでした。 紫「9年側にいたのに… 優樹は私の愛に甘えてどんどん図々しくなるばかり…。自立して下さい。」 こうして優樹と別れた紫は、 梓紗からの勧めもあり宰良苑で介護職員として働く事になりました。 山川紫「こんにちは、次元さん。 ゆっくり食べて下さいね…」 長年、専業主婦をしていた事もあり 社会勉強しながらの仕事なのですが 利用者からの人気は高い方でした。 次元宏美「ありがとう、山川さん。 山川さんが来るのを待っていたの…」 それはとても嬉しい事ではありますが  谷原雄高(ゆたか)「紫ちゃんは土日なのにデートのお誘いとかないの?」 宰良苑は介護職員だけではありませんが全職員の人間性がそれなりに低く… グループホームの寮長ではありますが基本的にはナンパな谷原雄高を筆頭に紫を困らせる職員ばかりでした。 谷原優香里「あらやだ、あなた。山川さんが私と同じ読みの名前だからってそんなに気安くされては困ります…。」 寮長ではあるもののふわふわしていてどうにも頼りにならず妻である優香里の尻に敷かれているそんな存在である谷原などは頼りになりません。 挙げ句の果てには… 雄高「優香里、そんなつもりはないよ。俺は婿養子だから谷原の家に迷惑を掛ける事だけはしないから…」   紫の返事も聞かずに飛躍した事を口にして優香里の嫉妬心を煽る始末…。 優香里「雄高さん、まさか浮気とかするつもりじゃないでしょうね!?優香里と紫だからって全てが一緒ではないし浮気するような人なら即離婚ですから…ね!」 紫「私は離婚したばかりなので、 突然そんな事を言われても困ります。」 紫が遠回しに迷惑だと口にすると 次は別の人間が現れました…。 それは… 遠回しに言うと紫のストーカーで、 自身の同期である藤堂知紗に想いを寄せられ極めて迷惑しているこの男… 高橋雄輔「紫ちゃん、僕と紫ちゃんは運命だと思うんだよね?ほら、年齢も2歳しか違わないし…?ダメ?」 紫の職場にいる話をややこしくする人間は高橋雄輔〈36歳〉と… 藤堂知紗(ちさ)「雄輔、それなら私と雄輔の方が運命でしょ?同い年だしSNSでのやり取りもしてるし…」 雄輔と同じ短大に通っていた 介護福祉士の資格を持ち雄輔と 同い年でもある藤堂知紗である。 雄輔「僕は紫ちゃんとの運命を感じているのに藤堂さんが僕らの間に割って入って来ないでくれる?」 ちなみに紫は彼らが短大を卒業したタイミングで入学したため彼らとは職場内で出逢っただけの極めて薄い人間関係のみである…。 それなのに…雄輔が紫との運命を感じているのか…意味不明を通り越して恐怖心に近い感情を懐いておりました。 だからこそ… 紫「私は基本的に恋愛と仕事は別で考えているので…ごめんなさい。」 雄輔からいつも通りの極めて軽い口説きを受けた時の返しはいつもこれで… 知紗「何、感じ悪い!というか… 態度悪すぎじゃない!」 雄輔からいつも袖にされている知紗からすると紫の態度は…勝者の余裕みたいに聞こえて悔しくて仕方ないのに… 雄輔「紫ちゃんは休み、何してるの?」 良い意味でも悪い意味でも… 打たれ強い雄輔は全く紫の態度に動じず根掘り葉掘り紫のプライベートをリサーチするのでした…。 知紗「雄輔、私の休みは… 音楽を聴きながら部屋のリラックスチェアーで(くつろ)ぐ事よ…。」 雄輔「ふーん。」 雄輔から何度冷たくされても打たれ強い知紗は雄輔に気にして貰いたくて雄輔の質問と同じ事を口にするけれど… 紫「101号室よりお知らせベルが鳴りましたので様子を見に行きますね…」 雄輔「丸山さんか…。心配だから…僕も見に行くよ…行こう。紫ちゃん。」 知紗が休みの日にどう過ごすか…ではなく利用者さんからのお知らせベルが大切なので紫は雄輔と共に101号室に急行しました。 すると… 丸山翔太「すまないね…。お知らせベルのボタンに興味があって…押しただけなんだ…」 どうやら壁に取り付けてあるお知らせベルのボタンに興味を持ち押しただけだったので何もなくて良かったのですが…知紗は… 知紗「雄輔と山川さんはグループホーム公認カップルだから…それは…仲も良くなるわよね…」 この日は勤務終了まで 機嫌を損ねておりました…。 そんなこんなで… 紫「今日も疲れた…ただいま…。」 紫が疲れ果てて家に帰ると… 激しい目眩がして…その場に… バタン。 倒れ込んでしまいました。 そしてそのまま… その身体は不思議と消えました…。 紫「…私は一体どうなるのかしら?」
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