第一章 王族

11/41
前へ
/319ページ
次へ
「今日は長い一日だったろうから、ミオはここでゆっくり夕食を取ることにしよう。  疲れているだろうから、部屋でリラックスして食事を楽しんでほしい。  もしなにか必要なものがあれば、侍女たちに言え。  もちろん、俺を呼んでもいい」  美桜はエリオの配慮に感謝した。 「そうしていただけると、本当に助かります。  実はとっても疲れていたんです。  だって緊張しどおしだったんだもの」  彼は優しくほほ笑んだ。 「無理もない。  今日はゆっくり休め」  エリオが部屋から立ち去ったあと、美桜は寂しさと不安が込み上げてくるのを感じた。  深呼吸して、自分を落ち着かせようと試みる。  けれど美桜は不安な気持ちを抑えきれず、部屋のなかをおぼつかなく歩き回った。  ここでの自分の立場や、これからどうなるのかという不安が頭をよぎり、心がざわつく。  美桜は窓のそばに立ち、夕焼けの景色を眺めながら、自分の心を落ち着かせようと努めた。  ややあって、侍女のクレアが告げる。 「ミオさま、お待たせいたしました。  夕食の準備ができましたので、どうぞお召し上がりください」
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加