136人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日は長い一日だったろうから、ミオはここでゆっくり夕食を取ることにしよう。
疲れているだろうから、部屋でリラックスして食事を楽しんでほしい。
もしなにか必要なものがあれば、侍女たちに言え。
もちろん、俺を呼んでもいい」
美桜はエリオの配慮に感謝した。
「そうしていただけると、本当に助かります。
実はとっても疲れていたんです。
だって緊張しどおしだったんだもの」
彼は優しくほほ笑んだ。
「無理もない。
今日はゆっくり休め」
エリオが部屋から立ち去ったあと、美桜は寂しさと不安が込み上げてくるのを感じた。
深呼吸して、自分を落ち着かせようと試みる。
けれど美桜は不安な気持ちを抑えきれず、部屋のなかをおぼつかなく歩き回った。
ここでの自分の立場や、これからどうなるのかという不安が頭をよぎり、心がざわつく。
美桜は窓のそばに立ち、夕焼けの景色を眺めながら、自分の心を落ち着かせようと努めた。
ややあって、侍女のクレアが告げる。
「ミオさま、お待たせいたしました。
夕食の準備ができましたので、どうぞお召し上がりください」
最初のコメントを投稿しよう!