序章

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 エリオが足を向けた先に、一頭の黒い馬が木につながれていた。  エリオはこれに乗って安全なところへ行くと言う。  でも美桜は馬に乗ったことがなく、不安になった。 「どうした?  馬が怖いのか?」  エリオが気遣うように尋ねる。 「馬に乗ったことがないんです。  だから、ちょっと怖いです」  美桜は素直に打ち明けた。  エリオは優しく笑う。 「心配するな。  俺がうしろでしっかり支えるから、大丈夫だ」  美桜はエリオの言葉に勇気づけられ、彼の手を借りて馬に乗る。  そして、エリオが馬の手綱を握り、馬を進め始めた。  美桜は怖がりながら鞍にしがみついていたが、エリオが支えてくれることに気づいて力をゆるめた。 「さっき、お前に話したいことがあると言っていたことだが」  馬を駆りながら、エリオが言う。 「俺はアーデリア王国の第二王子なんだ」  美桜は驚いて振り返った。 「王子さまだったんですか?」  エリオは苦笑いを浮かべながらうなずく。 「ああ。  おまえは我が王国にとって大事な存在だ。  だから王子である俺が迎えに来た」  美桜はさらに驚いた。 「わたしがどうして大事な存在なんですか?」  エリオは深刻な表情になる。
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