136人が本棚に入れています
本棚に追加
04 逃避
「いま、アーデリア王国には未曾有の危機が迫っている。
それを解決するために、おまえの力が必要なんだ」
草原のまんなかでエリオは馬をとめた。
まっすぐに美桜を見つめる。
「ミオ、おまえはアーデリア王国の聖女だ」
美桜は戸惑った。
「わたしが、聖女?
聖女ってなんですか?」
エリオは説明を始める。
「聖女とは、アーデリア王国を救う力を持った選ばれた者のこと。
伝承によれば、危機が迫るとき、聖女が現れ、王国を救うとされているんだ。
だから、おまえの力でアーデリアを救ってほしい」
よくわからなくて、美桜は不安になる。
「わたしにできることがあるのなら、協力しますけど……。
でも、なんの力も持ってないですよ?
魔法なんて使えないし」
エリオは彼女にほほ笑んだ。
「おまえには力がある。
俺が導くから、その力を貸してほしい」
最初のコメントを投稿しよう!