第四書 恋

10/56
前へ
/319ページ
次へ
 ドレスの胸元には繊細なレースが美しくあしらわれており、はかなげな魅力を引き立てている。  背中は大胆に開いており、そこから見える白い肌が、清楚さと色香を同時に漂わせた。  袖口には細かなビーズが縫い込まれており、それが光に反射して美桜の腕を繊細に彩っている。  首元にはエリオから贈られた花のペンダントが輝いていて、可憐さをいっそう際立たせていた。  美桜は感動してクレアに礼を言う。 「ありがとうございます。  とても可愛いし、動きやすいドレスですね」  クレアは満足げにうなずいて、ほほ笑んだ。 「とてもお似合いです、ミオさま。  きっとすぐに素敵なダンスが踊れるようになりますよ。  さあ、朝食ののちにダンスの練習に参りましょう」 「はい。  ダンスの練習はどこでするのですか?」  美桜は一刻も早くダンスの練習を始めたい気持ちでいっぱいだった。 「王城にはダンスの練習ができる広間がございます。  そちらで練習しましょう」  それからクレアは片目をつむり、小さな声で告げる。 「実は、特別なゲストがいらっしゃっております。  どうぞお楽しみに」
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加