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06 王国の脅威
ウィリアムはケープを翻して玉座に戻った。
それから美桜に対して王国の現状を語り始める。
「アーデリア王国は長年、隣国との争いや魔物の脅威に苦しんでいる。
国境付近では、魔物が次々と現れ、村を襲撃している。
そのせいで国民たちは不安と恐怖に悩まされていのだ」
美桜はウィリアムの言葉に胸が痛んだ。
戦争の脅威だけでなく、あの森の狼のような魔物に怯えて暮らしているなんて。
美桜はなんとか彼らの苦しみを理解しようとした。
「大変ですね……。
みなさんが毎日どんな恐怖を感じているか、わたしには想像できません」
ウィリアムはうなずいた。
そのとき、彼の瞳に一瞬なにかが宿ったような気がした。
まるで、美桜の存在に対する深い関心が垣間見えるかのようであった。
しかし、そのなにかはあっという間に消え去り、美桜は気のせいだと思い込む。
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