第一章 王族

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 クレアには落ち着いた雰囲気があり、優雅な立ち居振る舞いをしていた。  彼女の髪は柔らかな茶色で、綺麗にまとめられており、深い緑色の瞳が印象的だ。  顔立ちは穏やかで、笑顔が温かく、信頼できる人物であることがわかった。  どうやら美桜が不安を抱えていたあいだに、夕食の準備が整ったらしい。  運ばれてきたアーデリア王国の料理は、彩り豊かで目を惹く盛りつけがされていた。  それだけでなく、心地よく鼻をくすぐる美味しそうな香りが漂っている。  スパイスやハーブの香りが複雑に絡み合い、どの料理も食欲をそそったた。  美桜は、その匂いに包まれるだけで、早く料理に箸をつけたくなる。  広めのテーブルに並べられた夕食は、地中海料理を思わせる華やかさと味わいがあった。  香りのいいオイルをふんだんに使った料理が並び、彩り鮮やかな野菜やフレッシュな魚介類が盛り込まれている。  美桜は、目の前に広がる料理を味わいながら、異なる国であっても食材や料理の基本は同じであることに気づいた。  野菜や魚介類は違った種類かもしれないけれど、見た目や味わいは知っているものとそう変わらないように思える。
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