第一章 王族

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08 ドレス  翌朝、クレアに優しく声をかけられて、美桜は目を覚ました。  驚くほどスッキリした目覚めで、身体の疲れも感じられなかった。  クレアの顔にほほ笑みが浮かび、美桜に声をかける。 「おはようございます、ミオさま。  よくお眠りになられたようでなによりです。  朝食の準備ができましたので、お召し上がりになられる準備をさせていただきますね」  美桜はベッドから起き上がり、窓のほうへ目を向けた。  そこには、息を飲むほど美しい朝の景色が広がっていた。  王城の窓から見えるのは、陽光が注ぐ緑豊かな庭園で、花々が朝露に濡れて輝いていた。  また、庭園を抜けると、遠くには青く澄んだ空と壮大な山々が連なり、絵画のような風景が広がっている。  鳥たちのさえずりが聞こえ、清々しい空気が部屋に流れ込んできた。  美桜は、この景色に心を奪われながら、新しい一日が始まることを実感する。  侍女たちがドレスを持ってきて、部屋の中央に掛けた。  クレアは美桜に微笑んで語りかける。 「さあ、ミオさま。  まずはお召し替えから始めましょう」  美桜は、クレアの言葉にうなずき、ドレスを眺めた。  ドレスは淡いピンク色の素材で作られており、可憐な印象を与えていた。  ドレスのスカート部分には、優雅な花柄の刺繍が施され、その美しさは春の花園を思わせるほどだ。
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