136人が本棚に入れています
本棚に追加
美桜は、自分が夢を見ているのではないかと思いつつ、重ねて質問した。
「魔法って、どうやって使うんですか?」
彼はほほ笑みながら答える。
「生まれながらに持っている魔力を使って行う。
俺たちの世界では、魔法使いは特別な存在で、魔力を操ることができるんだ。
俺は幸運にも魔力を持っていて、王国のためにその力を使っている」
美桜は不思議な思いで彼を見つめた。
「すごいですね。
わたしの身近には魔法なんてないので、こんなことができるなんて信じられません」
「いや、おまえのほうがすごい」
青年は美桜に感心したような表情を向ける。
「見知らぬ世界に突然放り込まれても、こうして冷静に俺と話をしている。
だから、おまえのほうがすごいよ」
美桜は照れくさくなって笑った。
「そんなことないです。
あなたが助けてくれたおかげで、安心できたんですよ」
彼は優しい表情になる。
「ところで、おまえの名をまだ聞いていないんだが」
「あ、ごめんなさい。
名前を言っていませんでしたね。
わたしの名前は美桜です。
木村美桜」
青年はうなずいた。
「ミオか、いい名だ。
俺はエリオ。
エリオ・ハーヴィングという」
最初のコメントを投稿しよう!