序章

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序章

01 見知らぬ森  目が覚めると、美桜(みお)は見知らぬ美しい森のなかにいた。  陽の光が静かに森を包み込んでいる。  驚きとともに、美桜は自分がどうしてこんな場所にいるのかと、必死に頭を働かせた。  美桜は高校を卒業したばかりの十八歳だ。  艶のあるセミロングの髪が特徴的で、華奢な体つきをしている。  黒目がちな瞳は大きめで、鼻と口は小さい。  いまの服装はいつもどおり、ジーンズに長袖のTシャツといシンプルなスタイルだ。  美桜は昼間から自室のベッドに寝転んで、暗い気持ちでまどろんでいたはずだった。  ふと、抱えていた悩みが頭をよぎる。  美桜には誰にも言えない事情があった。  美桜の家庭環境はあまりよくなく、両親は彼女に厳しく接し、美桜は期待に応えられないことが多々あった。  学業や部活動でがんばっていたものの、家庭内でのプレッシャーが大きく、心のなかで絶望感を抱えていた。  そして大学受験当日にインフルエンザにかかり、それが長引いて、志望大学すべてに落ちてしまったのだ。
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