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休職すると、会社に慣れずに疲れ切っていたのだろう、萌は死んだように、朝も昼も夜も眠り続けた。やっと起きられるようになったが、眠り続けた間に、睡眠のリズムが崩れ、昼間は猛烈に眠く、夜は目が冴えて眠れなくなってしまったのだ。
―みんな働いているのに、私は家にいる。申し訳ないー
―みんなが休んでいる私の悪口を言っている気がするー
―いつになったら元気になれるんだろう……―
休職して3ヶ月が過ぎた。萌は、昼間は寝ていて、午後三時頃に起き出だすようになっていた。夜になると妙に気分がハイになる。夜に眠りたいと思って、どんなに睡眠導入剤を飲んでも眠れない。
周りが寝静まった頃、深夜営業のスーパーやコンビニに行って食料を買い込み、清涼飲料水を飲んだりお菓子を食べたりしながら、深夜に起きているSNS仲間と交流すると気持ちが紛れた。傷の舐め合いのような気もして虚しくもあったが……。
萌の心は自責の念と焦りで押しつぶされた。
―苦しい! 誰か助けて!―
―いつまでこの苦しさが続くのだろう?―
―どうしたら元気になれるのだろう? 誰か教えて欲しいー
学校時代の友達も新卒で会社に入って数か月。今はきっと忙しいと思ったし、仕事に行っていない自分を知られたくなくて相談できなかった。萌は孤独だった。両親とは折り合いが悪く、高校を出てからはひとり暮らしだ。今は、連絡先も知らない。知っていても、頼りにしようとは思えなかっただろう。萌に、一番ひどいことをしたのは、彼らなのだから。
一人きりで部屋に引きこもっていると、人生のすべてが終わったような気持ちになっていくのだった。
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