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合言葉
アクアリウムレストランは思ったよりもずっと雰囲気がいい。
全体的に海をイメージしたレストランの館内は青色で覆いつくされている。
ガラス張りの水槽の中に美しい魚がたくさん泳いでいる。
まさにデートスポットにぴったりだ。
遊園地も併設されているので、一日デートしていても飽きることはない。
もしかして、ここに決めたのも蒼くんなりに色々考えたのだろうか。
まさかね。たまたま耳にしたとか雑誌で見かけたとか行ってみたかったからここにしたのだろう。
フードコートにはたくさんの店があって、どれもおいしそうだ。
「どれにする?」
「私はアクアマリンパスタのお店がいいな。全部美味しそうだし、食後に深海のパフェなんかも美味しそうじゃない?」
「たしかに。パスタが全体的におしゃれだな。女性受けしそうなネーミングだし、色合いもいい。深海のパフェも全体的に青い感じが魅惑的だな」
「私は昔から、珍しいものが好きなんだよね。例えば、青い食べ物や青い花とかあんまりないじゃない? あえて着色したのかもしれないけれど、見つけるときれいだなって思って、つい手に取ってしまうんだよね」
「本当に青が好きなんだな」
一瞬蒼が好きに聞こえる。
それも間違ってはいないので、否定はしないでおこう。
「パスタは深海のマリンパスタにしようっと」
「げっ、それはチャレンジャーだな。青いクリームに覆われてるけど」
「でも、ネットの情報だとおいしいらしいよ。この店で一番の味なんだって」
「へえー。まぁ俺は無難なところで、ナポリタンにしておく」
いかにも手堅い所が蒼くんらしい。
実際注文すると、青い海の中にパスタが浮かんでいるみたいだ。
散りばめられたレモンやオクラやトマトの色が鮮やかで宝石のようにも見える。あの
「青のお味はいかがかな?」
「うん、おいしいよ。予想外の味っていう印象」
「本当にうまそうに食べるよな」
「水族館に行った後に、記憶を司るっていう神社に寄って帰らない?」
「あの神社か?」
「いつも夢を見るんだ。蒼くんと約束したんだけど、肝心の合言葉の部分が思い出せないんだよね。夢の中でもそこは聞こえないの」
「俺、本当に記憶をそこだけ失ってるから、あながちあの神社とは何か関係があるのかもしれないな」
「今日の感想、聞いてもいいか?」
「珍しいね。わざわざ丁寧に断りを入れるなんて」
「まぁ、色々と世話になってるしな。ホラー嫌いもばれちまったし」
少しばかり照れくさそうにする。
「まずは、蒼くんって猫を被ってるんだなって思った。いつも完璧で大人の前では礼儀正しい優等生なのに、私の前だと横柄な態度だし、冷たい言葉を浴びせるし。でも、他の人が知らないあなたを知れたということは得したような気持ちになったかなぁ」
「悪いか。人間裏表の顔はあるだろ」
「でも、蒼くんの本当の顔は私しか知らないんだろうなぁって」
「それって、嬉しいのか?」
「あったりまえでしょ」
「面白い奴だな。青い食べ物をあえて食べる奴も初めて見たし」
「普通の女子だと思わないでほしいな。私は、空野奏多の力になりたいって思ってる。もちろん、蒼くんのために私は尽くしたいという気持ちもあるし」
「おまえは裏表がない奴だな」
ふとした瞬間に、にこっとする。心を開いてくれているのかもしれない。
蒼くんがにこっとすることは滅多にない。
基本、表情は変わらないし、笑ったとしても本心ではないだろうという笑顔だ。
でも、本当に心を開いた笑いはすぐに私にはわかる。
「少しだけでも、蒼くんの本当の部分に触れていたいって思う」
「はぁ?」
少しばかり珍しく蒼くんが照れているように思う。
「本当の部分、文章に入れるには悪くないな。尽くしたいという気持ちっていうのも今時珍しい考えだし、キャラとしては立つかもしれないな」
「本当にいつも小説のことばかり考えているよね。本当にプロなんだなって尊敬する」
「おまえは、そんなに人を褒めることに恥ずかしさとか抵抗はないのか?」
更に珍しく視線を逸らしつつ、私をちらりと見る。
「開き直ってしまったというのはあるけど、一生懸命応援したいなって思うし。好きという気持ちには抗えないでしょ」
「こんな人間もいるのか……」
少しばかり笑いながら、少しばかり認めてくれたような発言。
「蒼くんと一緒に食事ができて、ここに来れてよかったよ」
「そうだな」
珍しく否定的な発言をしないんだ。ちょっとびっくり。
「魚でも見ていくか」
「魚ってざっくりしすぎだなぁ」
「ここは水族館でも学びよりも美しさや雰囲気を大切にしているらしいから、室内の照明や色彩も美しさで創作しているらしい」
「私、エイが好きなんだよね」
「エイって顔が腹に描かれているみたいな不思議な魚だろ」
「うん。いつも笑っているように見えるでしょ。あとは、クラゲも大好き」
「あの静かな生き物か。静かな生き物……ネタになるかもな」
「そこは純粋に楽しもうよ」
一緒に食器を片付けて、一緒にアクアリウムの入り口に向かう。
一瞬手を繋ぎたくなるのをぐっとこらえる。
「ここは、少しばかり暗いけれど、怖がっても、手を繋いであげないんだから」
「じゃあ、手を繋ぐか」
「え?」
「嫌か? 一応俺たち恋人設定だろ」
「形だけでしょ」
「でも、いつまで疑似恋人かはまだ決めてないから、年単位かもしれないし……これからお世話になる人だから」
手を差し出される。まるで恋人同士だ。
私の顔を見て、笑っている。
私をからかっているのかもしれない。
「からかっているでしょ」
「おまえの嬉しそうな顔を見てると、俺も嬉しくなるからさ」
無理矢理手を繋がれる。
お化け屋敷の時と違って、もっともっと恥ずかしい。
蒼くんは涼しい顔をしている。
一緒に一通り回る。
手を繋いだ高校生の男女を見た人たちは、本物の恋人だと思うだろう。
本当は違うんだけどね。私のただの片思い。
「帰宅途中に神社があるから、寄ってみるか。夢ってどんな夢を見るんだ?」
「夢はずっと小さなときから定期的に見ていたの。だから、忘れないでいられたのかもしれない。蒼くんが声変わりする前の声で優しく私に語り掛けてくれるんだ。合言葉は〇〇〇〇だよって」
「そう言えば、この前羽留のお母さんが小さい時にアオハルっていうのが蒼と羽留みたいだなって俺たちのこと言ってたよな」
「……」
「どーした?」
一瞬固まる。記憶の糸を辿る。
一瞬桜吹雪の風に包まれる。
ぴん、と言葉が鮮明に浮かんだ。
ずっと探していたのにずっとわからなかった合言葉。
蒼くんが語り掛けてくれた言葉。
「合言葉はアオハルだよ」
「え?」
「ずっと夢の中でもやがかかっていた言葉が今見えたの」
「CMで最近も青春をアオハルと呼ぶっていうのがやってるでしょ。あれ、十年前のリメイクなんだって」
「きっと子供ならば、自分の名前がCMで連呼されてるのを見たら、印象に残るでしょ。しかも、私たち二人の名前を合わせような言葉だから」
「なんで、俺、記憶がないんだろ……」
「神社に寄ってみよう。あそこには昔によく行ってたよね。だから、何か思い出せるかも」
「でも、合言葉って何だよ」
「それはわからないけれど、合言葉を一緒に言ったら何かを思い出すかもしれないよ」
「俺たちは、仲が良かったらしいからな」
一緒に電車に乗って帰路につく。
「逆に取材させてよ。今、蒼くんはどんな気持ち?」
「なんだか、あっという間だったな。疲れたけど、良い疲れかな。やっぱりパソコンばっかに向き合ってるより天気のいい日は外に出る方がいいな」
「いつでも、疑似恋人の私がいるから、声かけてよ」
「あ……あぁ」
「でも、美優のことを考えると邪魔かな」
「そんなことねーよ。あいつは、ただの友達だし」
意外にも全力否定してくれたことに喜びを感じる。
ただの友達かあ。
「友達以上って言ってたじゃん。それは美優が勝手に言ってるだけ。でも、友達以上の関係にはなれる気がしない。俺の感情が死んでるのかもしれないし、好きにはなれないんだよ」
「でも、好きって言ってくれる人がいるなんていいじゃん」
「あのさ、零次っていう奴には告白されたことあるんだっけ?」
「うん。気になるの?」
「あ、いや、小説のネタに使いたいなって思ってさ」
「零次くんはストレートな告白をしてくれて、いつも優しいの。でも、やっぱり友達かなっていう境界線から抜け出せない自分がいる」
「たしかに、無意識な境界線ってあるよな。友達同士でもあるかもしれないな。こいつは気が合うけど、こいつはあわねーみたいな」
「久々に会った蒼くんはイメージとだいぶ変わっていたけど、いい感じに成長していて私は嬉しいよ」
「そうか」
心なしか笑顔になったように見えた。
滅多に表情に出さない蒼くんだけど、時々感情を垣間見れるだけでうれしくなる。
駅に着くと、記憶神社の方へ歩く。すっかり夕方になっていて、改めて丸一日遊び疲れたなぁと感じる。
だいぶ今日一日で歩いたような気がする。ヒールのない靴をはいてきてよかった。
神社と言ってもそんなに大きな神社ではなく、石段も何百とあるわけではない。
赤く光る夕焼けが少しばかりまぶしい。
「夕焼けってさ。いろんな色でできているらしいよ」
「オレンジとか赤っていう印象が強いけど」
「時間帯によって紫にも赤紫にもオレンジにも赤にもなる。それが虹みたいにあわさった時間帯が好きだな」
「そういえば、空野奏多の作品にも夕焼けの描写はわりとあるよね」
「空野奏多っていうペンネームの由来は、空を見て考えたんだよ。本名だと身バレすると活動しづらいだろ。空の彼方には何があるんだろうって思ったんだよ。小さい時に虹の上を歩くことができると思っていた時期があってさ。虹の彼方には何がある? みたいな絵本があったんだよな」
「私も、その絵本を読んだことがあるかも。虹の上を橋を渡るかのように歩けるっていう話でしょ」
「空の彼方にある何者かになりたいなって思ったんだ。なんか、すげーものが待ってるような気がするだろ」
「もし、空野奏多の正体が身バレしたらどうするの?」
「バレた時はその時だ。別に隠すような話を書いてるわけでもないし、作家活動については、学校には届けてあるからさ」
「そっか。ごく一部の人にしか話していない作家の正体を私が知ってるなんて不思議」
「ファンレター送ってくれただろ。編集部に届いた第一号だったんだ。ファン第一号って作家にとっては超嬉しい出来事だからずっと大切にファンレターは保管していたんだ。今時手紙で感想送ってくれるなんて相当読み込んで気に入ってくれてるっていう証拠だろ。当然名前と住所も知っていた。それで、母親の友達で居候するところの娘の名前と住所が一緒だったから、はじめはどんな顔して会えばいいかわかんなかった。俺にはおまえとの幼少期の記憶がないし」
「でも、不思議だよね。蒼くんの目の前で私が交通事故に遭って、蒼くんが助けを呼んでくれたとは聞いたけれど、蒼くんが神社に祈ってくれたって聞いてから無事だったのは、そのおかげなのかなって思ったの。だから、この神社の神様に記憶をかえしてもらおう」
「俺が、そんなに熱心に神の類に祈るなんてそうそうないから、今となっては信じられねー」
「幼いときはもっと純粋で優しい男の子だったんだよ」
夕焼けの中の神社はますます厳かで不思議な空気が漂っているように感じる。
「神様、もし、蒼くんの記憶をもっているならば、蒼くんに返してください!!」
「おまえ、声でかいし、本気で神に話しかけてるのかよ」
人目を気にしつつ驚いた顔をする蒼くん。
幸い人は誰もいない。
「あの時は、助けてくれてありがとうございます!!」
大き目の声を出す。もちろん、神様からの返事はない。
蒼くんの手を握り、「合言葉は――」と言って先程の言葉を言うようにうながす。
蒼くんは、少しばかり面倒くさそうな顔をする。
でも、手をぎゅっとして強制的に言うように目配せする。
あれ、今日は何回この人の手を握ったのだろう。
もはや、あたりまえになっていることに気づく。
「「アオハル!!!!」」
二人の声が重なる。
私たちの名前を合体させた言葉。蒼と羽留。
すると、元々階段下よりも気温が低い神社の空気が更に下がる。
夕陽の光が急に強くなる。
赤、紫、オレンジ、黄色、透明な光も入り混じる。
散っていたはずの桜の花びらが突如舞い上がる。
まるで私たちの周囲を取り囲むかのように、迎えてくれているかのように――。
記憶の糸が繋がる感じがする。
蒼くんの手が、更に私の手を強く握る。
見えない糸が繋がる――光が繋ぐ記憶――。
まるで映画のように幼少期の映像が三百六十度に現れる。
「羽留ちゃん?」
一瞬、呼吸を置いてから、別人のように優しい声で蒼くんが私を見つめる。
「ちゃんづけ?」
「思い出したんだよ。ずっと忘れていた。羽留ちゃんとの記憶」
そこにいたのは、十年前に別れてそのまま成長した蒼くんだった。
「嘘? やっぱり合言葉は記憶を戻す言葉だったの?」
にこやかに優し気に笑う蒼くんとの距離は確実に縮まっていた。
「ここで一生懸命祈ったんだっけ。大好きな羽留ちゃんが死にませんように。ケガをしませんようにって」
「この神社が記憶と引き換えにねがいをかなえてくれるというのは本当だった?」
「かもな」
「じゃあ、私のことを好きだったっていうことを思い出してくれたんだね。十年後にまた会おうという言葉も」
「まあな」
「じゃあ、好きって言ってよ」
「ちょっと待てよ。そんな恥ずかしいことできるわけねーだろ」
やっぱり、蒼くんは成長して、いわゆるクールキャラになってしまったらしい。
「私のこと好きなくせに!!」
「……秘密」
今まで見たことがないくらい、蒼くんの顔は赤くなっている。
「顔が真っ赤だよー」
「夕陽のせいだよ」
必死に顔を隠そうとする蒼くんはいじらしい。
「相変わらず、本心を隠した猫かぶり王子様なんだから」
「王子様ってなんだよ?」
「私がずっと好きだって思っていた王子様は蒼くんだよ。再会できて嬉しいけど、当面の目標は好きって言ってもらうことかなー」
「どっちにしても疑似恋人なんだから、付き合ってるようなもんだろ」
「疑似は取ったほうが良くない?」
「……そうだな」
「ずっと同居しててよ」
「……いいのか?」
「いいに決まってるでしょ。そのかわり、好きっていう言葉を聞かせてもらうからね」
「そんなこっぱずかしいこと言えるかよ」
「でも、私たち本当の恋人でしょ」
「あぁ、そうだよ。次回作で俺と羽留の話をデフォルメした話を書きたいと思う。そこに俺の気持ちを書くから。あと、ファン第一号として最初の読者になってほしい」
「一番最初に読めるの?」
「あぁ、校了したあとに、見本誌が届くから、その時は一番に読んでくれ」
「うれしい!!」
つい、嬉しさのあまり、抱きついてしまう。
「おまえ、なにしてるだよ」
焦る蒼くん。何を今更照れているのだろう。
「大好きだよ、蒼くん」
夕陽に照らされた蒼くんは美しく神々しい。
「本当に、羞恥心というものを知らない奴だな。でも、羽留のおかげで次回作のキャラが固まった。ラストはハッピーエンドに変更する」
「羽留ってよんでくれるのもうれしい」
「これから、何度でも呼んでやるよ」
「何度でも呼ばれてやるよ」
「俺のことは、呼び捨てでいいから」
私たちは微笑みあう。ぎゅっとだきしめあいながら――。
「これから、よろしくね、蒼」
「こちらこそ、よろしくな、羽留」
呼び捨ては距離がぐっとちぢまる。
私たちが幼少期に過ごした記憶が蒼の恋心を呼び覚ましたのかもしれないと羽留は思っていた。
でも、同居しながら蒼が羽留に少しずつ惹かれていたなんて、疑似恋人を装いながらデートしていた時に既に羽留に恋心を抱いていたなんて、蒼本人が知るはずもなかった。
もしかしたら、蒼自身も気づかないうちに羽留と行動を共にしたくて、作家という身分を明かして疑似恋人、疑似デートを提案していたのかもしれない。素直じゃない蒼だから、羽留に正直にいつ好きになったとか、好きだなんて言うことはないかもしれない。でも、誰よりも一緒にいられるのだから、二人が幸せなのはまぎれもない事実だ。
夕陽に照らされた蒼は光輝き美しく神々しい。
お互いに見つめあう。
夕陽の下で想いを確かめ合う。
ふたりはこのからずっと一緒だ。一緒に住んで一緒に恋をして、高校生活を送る――
一番近くにいられることの幸せ。
十年越しの想いはつながった。
「いつか好きって言わせてみせるんだから」
「恥ずかしいから、言わねーけど、小説の中で羽留への気持ちは綴るから」
こちらがはずかしくなる。
おまえから羽留呼びになっている幸せも実感する。
「何赤くなってるんだよ」
蒼のほうが赤くなる。
猫かぶりな本性を見せない王子様は多分、好きとは正直に言わないだろう。
思いえがいていた王子様ではなかったけれど、俺様な素直じゃない王子様も魅力的だ。
私の前だけでは猫をかぶらない本当の蒼が見れたらそれはそれで幸せだ。
「もし、言うとしたら――いまわの際にいってやるよ」
「いまわの際?」
小説家の蒼は語彙力が多い。私は乏しいので、帰ったら辞書を引いて調べないとわからない言葉も多々ある。
「帰ったら、辞書で調べてみるがいい」
少し後になって知った言葉。
いまわの際とは――死に際、最期の時。
つまり――蒼は羽留とずっと一緒にいたいという最高に素敵な言葉をおくってくれたということだ。
月曜日、私は蒼くんと一緒に登校する。美優が嫌味を言ってくる。
「俺、羽留と付き合うことにした。こいつんちに居候させてもらってる。つまり、同居してる」
何も隠さないでいいのだろうかと心配になる。
一瞬にして噂は広まった。
「隠さなくていいの?」
「いいんだよ。俺のものだって宣言したほうが羽留を取られることもないだろうし」
私たちは公認の本物の恋人となった。
蒼は意外と独占欲が強いらしい。
「もしかして、零次くんとのこと、嫉妬してた?」
「嫉妬なんてしねーよ。まあ、ちょっとは気になったけど。羽留は俺のことだけ好きでいればいーんだよ」
その言葉につい心がとろけそうになる。
アオハル=青春と世間では言われている。
せいしゅんの読み方を訓読みにしたものがアオハルだ。
青春とは人生の春。若くて活気のある時期。
蒼と羽留の物語はこれからもづついていく。
もし、また蒼か羽留の記憶が無くなってしまっても、またお互いを好きになる自信はあるから。
もし、離れてしまうことがあっても――二度目、三度目と再会したら、絶対にまた好きになる。
何度でも君をまた好きになる。
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