二話

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二話

「月希…あなたが依り代として選ばれたわ。11歳の誕生日になったらここを離れて……本家へ行くの」  お母さんは涙を堪えながら言った。  月希は不思議だった。本家はお正月にしか行けない大きなお屋敷で、この本家のおかげで月希達は不自由なく暮らしていると知っていた。  美味しいお料理はたくさん出るし、いつもお手伝いさん?が何人もいて世話を焼いてくれる。お父さんとお母さんだって同じ島に住んでるんだから、いつだって会えるんじゃないかな?なんで泣きそうな顔で言うんだろう。  月希たちが住む家は、本家からは徒歩十五分くらいの場所に位置していた。大人の足ならもっと近いだろう。  本家のおかげでこの島の人間は不自由なく暮らしてる。本家のおかげでお金にも困ることはない。親にも聞かされてきたし、学校の先生たちも言ってることだった。  そんな本家に住む。別に歩いて十五分なのに、住むのは何故だろう。用がある時だけ呼んでくれればいい話ではないのかな。 「ごめんね、月希。長の言う事は絶対なの。ごめんね月希、ごめんね…」 繰り返す母親。 「お母さん、どうして謝るの?」  別に同じ島内での話だし、選ばれたっていうのはスゴイ事なんじゃないのかな。  
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