近道の対価

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  いつも景色として通過していた公園の秘密を知ったのは、先日の休みの日だった。近くに用事があった健太はきまぐれに入ってみた。遊具も無い。芝生だけの公園。想像通りだなとつまらなく思い、帰ろうとしようとした時に気付いたのだ。公園内の一番奥に隠れるように細い道があることを。  道の先は小さな山の麓で、途中で二手に分かれ、一方は小山の頂上につながっていた。  そして、片一方の道の終点は……かなり先のランニングコースの脇道だった。正規のルートがひらがなの「つ」の曲線部分だとしたら、この道は始点と終点を直線で突っ切るようなものだ。  大胆なショートカット。これが健太の秘策だった。   健太は走るのをやめ山道を歩いていた。左右は林となっているため、コースを走っている人間がこちらを見たとしても気付かれる心配はないだろう。そもそも距離的によほど視力が良くない限り無理だ。  ただ、歩く速度には気をつけなくてはいけない。タイムが劇的に改善したら不自然だし、何よりも抜かしていないはずの部員より先にゴールしたらマズい。経験的には大丈夫だと思うが、ブービーの部員が体調不良でいつもよりかなり遅いという可能性はある。そう考え、ゆっくりと歩みを進めていると、数メートル先にしゃがみこむ1人のおばあさんを見つけた。     
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