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【はじまり】
四月某日の話だ。今年のゴールデンウィークは月曜火曜と大学があって、どこに行こうか、今回はどこに歩きに行こうかなどと話していた折、M何某後輩から同行の希望があった。四国八十八ヶ所は弘法大師とともに歩いて同行二人とも言われるが――何の因果か、彼は四国の人間だ。あるいは、物好きには物好きが寄るものなのかもしれない。ともかく、徒歩の旅に興味を持ってくれたことは喜ばしい限りだ。断る理由なく、今回は豊橋まで歩いてみようという話に落ち着いた。
「……あッ、言い忘れていた」
「なんスか」
「合言葉は『六根清浄』な」
「早く行きましょうか」
など言い合いながら、弥次喜多もとい、東海道を東入する話である。
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