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「以前のご職業は?」
いつの間にか隣を歩いていた老人に尋ねられた。
職業。少し迷って、
「冒険家、ですかね」
「私、ニートで特にやりたいこともなくてずっ と怠惰な日々を過ごしていたんですが、それって、何にも縛られずにいつまでも夢を探し続ける、冒険家とも言えるんじゃないかと思って!」
と、ドヤ顔をしてみる。
「へぇ、冒険家。なるほどそれは素晴らしいですね」
老人は優しく微笑んでくれた。
言えないでしょ、小馬鹿にしたように笑う声は、すぐ後ろを歩く少年のものだろう。小学生くらいだろうか。
冒険家と口にしてみると、広大な砂漠を異星人と手を繋いで歩き、恐竜の背中の上で名前の知らないフルーツを食べ、今にも崩れそうな吊り橋を命懸けで渡ったような気がしてくる。
私は極度の面倒くさがりだけど無駄に好奇心だけは強く、やってみたいことが山ほどある。
どうしようもない飽き性でもあるから、二時間で満足してしまうだろうけど。
次は、ひとつくらいできるだろうか。
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