血の道は海へ

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*  数百年前に起きた戦争をテーマにした展覧会は、今日もチケットが完売した。  厳かな国立美術館の展示室。たくさんの人が並ぶ中、ひとつの大きな絵画が人々の視線を集めている。成人男性が3人両腕を広げたくらいの大きさの絵画。美術の教科書にも載るくらい有名なとある作家の代表作の解説には、こんなことが書かれている。 『タイトル:血の道は海へ   妻の実体験を絵にした、作者の代表作。海へと続く赤い道が印象的な風景画。母親の死体を引きずったときにできた血の跡を、石を混ぜた絵具で生々しく表現している。今も風化を見せず、当時の画材では再現不可能なほど、あまりにリアルなその血の色に、本物の血を使用しているのではないかという考察さえ存在している』
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