1/1

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

 僕はどこへ走ることができるだろうか。安堵と哀愁を詰め込んだ脳が、変わりたいと叫んでいる。「やりたいことと、できることは違う」。果たしてそれは本当だろうか。それは社会が勝手に決めたしきたりに過ぎないのではないか。やりたいことはやればいい。できることはできればいい。僕らはいつしか、できることだけを求めて、やりたいことを拒否するようになってしまった。安堵することに執着して、可能性を潰し続けていた。一抹の哀愁は仕方がないと無視し続けて、仕事をする現実を中心に考えていた。それを悪いことだとは思わない。仕事がやりたいことと繋がっているなら、仕事を中心にした方が絶対に幸せだ。  でも、僕はどうだ? 僕はこの仕事をやりたくてやっているのだろうか。  違う。僕はこの仕事ができるからやっている。安定さを追い求めた人生の先にあったからドライバーをしている。 『俺は夢が叶うって信じちゃっているんだな、愚かだが、その心は折れないんだ』  僕にも愚かだが叶うと信じている夢がある。そしてその心は折れ切っていない。追うべきだ。僕はもう一度、夢を追うべきだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加