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 父の父親である祖父も長男として育った。私の知っている限りではあるが、4人の姉と弟が一人いた。昔のことなので詳しいことはわからないが、その祖父の父が亡くなった時にほとんどの財産を祖父が継いだ。弟に分けられたいくつかの不動産は、実質祖父がみていて、遠距離に住んでいたこともあって弟が亡くなったのを機に家族から世話が無理だという理由で戻された。  祖父は農業で生計を立てていたらしいが、息子が働き、嫁も働いているので子守のため私が生まれた頃には水田を人に貸し稲作はやめたのだという。祖母は祖父と畑仕事に出かけない時は家で着物を仕立てていて、和裁での収入はあったが、祖父に合わせ畑に出なければならないので、細々としたものだったと思う。  3世代同居のこの一家を支えていたのは父母の給料が主だったはずである。そのためか母の愚痴はお金のことが多かった。私達姉妹は度々聞かされたが、嫁の立場で文句など言えない時代に直接祖父母に向かって言ったことはさすがの母でもなかっただろう。姉弟(きょうだい)の面倒をみるのも長男の役目として当然で、祖父は父にその全てに対して頼りにしていた。というよりお願い半分、命令半分だったのではないかと思う。
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