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 お盆前後は叔父達3家族が入れ替わりに、または重なってやってきた。叔母達は誰一人炊事を手伝いはしなかったし、祖母はたまに来る外孫(そとまご)達にもやさしく、叱ることもなかったぐらいだから嫁達にも特に何も言わなかった。 「お義姉(ねえ)さん、見て見て、うちの子達、可愛いでしょ。この間お見舞いでいただいたお金でビデオカメラ買ったんですよ。プレイヤーを電気屋さんに借りてきたので一緒に見ませんか。写真と違って子どもの動く姿が残せて。お義姉さんところも買ったらどうですか?」  大人でなかった私達も「これは酷い」と思ったのだった。叔父の家の浄化槽が大雨が降ったせいで、修理が必要になったというような話を聞いた祖父が修理代相当を(サトル)に見舞いとして送れと言った、その30万がビデオカメラになったのだ。被害がたいしたことなくて修理の必要がなかったことと、そのお金で買ったことも叔父夫婦は隠さなかった。母がその時、義弟の嫁の言葉になんと言ったかは覚えていないが、「いいわね」ぐらいで流したのだと思う。 「あげたものだから、どう使おうと勝手。でも、余裕があってその金額を出しているわけじゃない。おじいちゃんに言われたからで、うちにビデオカメラを買うようなお金なんかないのに」  あとで母がそう言っていたが、今考えれば、親、つまり祖父がくれたお金であって、兄夫婦から出たお金だとは思っていなかったのだろう。微々たる年金生活の祖父母にそんな金額が見舞いとして出せたかどうかはわかりそうなものではあるけれど。
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