14人が本棚に入れています
本棚に追加
神前式
「ですが、ここからもまだ困難は続きます。峻険な星々が行く手を何度も遮ることでしょう。
なぜならば我が父はいまだ、あなた様を──」
「とうぜん承知の上だ」
ある時約束した。
それは呪縛から逃れるための約束の日だった。
そう。これは巡礼なのだ。
自由を得るための胎内巡り。
二人で歩んだ道を──今度は三人で。
「俺たちに宿世の縁ある限り」
「わたしたちの道は必ず交わります」
我が妻は笑う。
厳かに執り行われる式の最中であるかのように。
この参道を巡り、もう一度会えるならば──!
やってやろうじゃあないか、と不敵な笑みが浮かんでくる。
俺は再び息を止め、叩くように操縦桿を倒した。
最初のコメントを投稿しよう!