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(これって、合わせてくれたのかな。私が仏教美術に興味あるって話したから)
炎の河と水の河。それに挟まれた白い一本道。これは極楽浄土への道を比喩で表した二河白道というもので、ときどき絵画のモチーフにもなっていた。
知人の紹介でたまたま出会っただけの私を、丸山はこうやって、不思議な表現で何回も口説いてくる。
(余計なお世話だろうけど、これをネタ作りに生かしたらいいのに)
高校を卒業して芸人になり、五年目だと聞いた。彼が売れっ子だという話はまだ聞かない。私の相手なんてしている場合だろうか。
チラッと、丸山を見る。黒目がキラキラした、明るくて爽やかな顔立ち。視線を落として、私は手元のレアチーズケーキにフォークを入れた。頬はまだ熱を持っている。
どうして私なのだろう。大学院で日本文化を専攻している私と、丸山とでは、同じ年なことくらいしか共通点がない。陰気な私と、社交的な彼とでは。
がんばるところが違うのではないか。
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