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僕が楽しそうに友人達と談笑している姿、校外学習、フィールドワークやボランティア、寮内の様子もいくつか写っていた。
「安心しろ、学園にも寮長にも許可を得ての撮影だ。お前の友人たちにも協力してもらった」
風雅のスマホのアルバムは僕の姿であふれていた。
「お前専用のスマホだから。叔父様に託された。お前は文字だけで写真のひとつも送ってこないから頼まれてくれないかと言われて。吉祥の調査部は使いたくなかったんだろう。当主である前にお前の父親でありたかったんだろうと思うぞ」
スマホの画面が歪んだ。
パタパタと涙が画面に零れ落ちた。
風雅は僕の頭を胸に引き寄せた。
「今は、泣いておけ。俺の前でだけ涙を見せろ。いいか、涼。日本に戻ったら様々な思惑がお前に襲い掛かる。全て受け流せ」
「へっ?・・・・」
僕は涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げた。
風雅は「いいから」と言って僕の顔を胸に沈めた。
「叔母様はこれを機に疾風を次期当主にと一門に公言するだろう」
僕の胸に激痛が走った。
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