従兄弟の背中

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僕はいつしか心の中に黒々とした塊を抱く様になった。 機会が平等に与えられる事に不満があった訳ではない。 むしろ、機会を平等に与える父が誇らしかった。 だが、評価が公平である事に徐々に不満が募っていった。 母は結果が全てでプロセスの評価は一切しなかったから。 僕は結果の出せない無駄な努力をしている愚か者だと言われている様な気持ちだった。 持って生まれた素養や素質、才能は努力で補えるものばかりではない。 追いかけても、追いかけても疾風との差が縮まる事はない様に思えてならなかった。 吉祥家門が経営、運営する学園に幼稚舎から中等部まで僕らは揃って通った。 小学部高学年になると生徒会活動が始まる。 生徒会選挙は吉祥家一門の後継を担う者達の最初の登竜門だった。 同い年の僕らは当然ライバルとなる。 小学部、中学部通して生徒会会長の椅子は疾風が独占した。 美月が副会長、僕は会計。 僕は4回の選挙で4回とも次点にも届かない結果だった。
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