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日曜日
《日曜日⦆
うさぎの朝は早い。
サークルの中のツキに「おはよう」と声をかけて頭を撫でる。いつも通りお世話をした。
刷毛でサーク内に落ちているチモシー(牧草)を片付け、そのあいだツキには部屋んぽをさせておく。
洋平は休日でも関係なく、同じ時間にお世話する。
毎日、運動させてあげないと、うさぎは脚力が弱ってしまう。
ツキが昨夜したうんちを見て、健康状態に問題がないことを確認した。
ネザーランドドワーフなどの小型のうさぎでも、本気で全速力を出されると、なかなか捕まえられないし、隙間に入られると出せなくなってしまう。電化製品のコードはかじられないように、ガードも必要だ。
サークル内には給水器とオートフィーダーと、カゴ型のチモシーベッドや牧草箱、かじり木、トイレ。サークルの外には湿温計と見守りカメラを設置して、外出の際には携帯で様子が窺えるようにし、エアコンの温度調整も携帯でできるようにしている。
飼い主の気配りなど知りもしない顔で、チモシーをモグモグしているツキの、小さく丸い背中を見つめて、その可愛さに洋平は目じりをさげた。
サークル内の抜け毛や牧草の食べ残しなどの刷毛では取り切れない、細かなゴミを消音タイプのハンディ掃除機で吸い取っていく。
音に敏感なうさぎにとっては、掃除機の音もストレスになるらしいので、ツキのために買い換えた。
しかし、その掃除機よりもうるさいやつが、ゆうべ泊まってまだ起きない園谷だ。襖ごしでもいびきが聞こえてくる。
昨夜、洋平が寝る前にツキに「おやすみ」を言いにきたときに、普段と違う雰囲気を察したのか、サークルの隅で硬くなっていた。
うさぎは繊細な生き物だ。
早く園谷が自ら帰ってくれるよう、洋平はツキのために祈った。
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