3.子供の時っていつまで?

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今朝は少し暑さが和らいだ。夏休みもあと少し。新学期になればシロとこうしてゆっくり話をすることも出来なくなるだろう。 何でだろう、シロと出会ったのはついこの前だし、せいぜい朝の三十分くらいしか話をしていないのに。気がついたら俺は日中や寝る前、ふとした時間にシロのことを考えるようになった。 俺よりもうんと年上(神様だから当たり前だけど、見た目の話だ)なのに、いつもまるで子供のようにはしゃいで笑う。美味しそうに油揚げを頬張る。でも、黙ったときの彼の横顔はかっこよくて、思わずずっと見ていたいとさえ思う。 そんなシロが何らかのきっかけで見えなくなるなんて。俺が高校生なのに子供、っていうのもショックだけど、それよりシロに会えなくなるのはもっと嫌だ。シロは何かをしっているのだろうか。それを俺が聞いてもいいのだろうか…… 「みずほ、どうした? 少し元気ないな」 油揚げを味わいながらシロは怪訝そうに俺の顔を見る。何故分かったんだろう。寝る前に、色々考えていたら眠れなくなってしまって一時間くらいしか寝ていない。 「昨夜眠れなくて」 「何か心配ごとがあるのか? 学校のこと?」 手を伸ばして俺の頭をなでる。最近よくシロは頭を撫でてくる。細い手が頭に乗るたびに俺はなんとも言えない気持ちになってしまう。 「シロ、俺の兄貴覚えてたよね? その兄貴から聞いたんだけど」 「のぞみから?」 「……お狐様が見えるのは、子供の頃だけだって。俺はシロが見えてるからまだ子供なんだと思うけど、何をもって子供じゃなくなるの?」 「えっ」 ピクっとシロの手が止まる。少し驚いた顔をした後に、何か迷っているような仕草をした。 「うーん……私から言って良いのかなあ」 何だろうそんなに言いにくいことなのだろうか。それともシロから聞いたら消えちゃうのだろうか。そう思ったら、衝動で俺はシロの片腕にしがみついた。 「みずほ?」 「シロ、いなくなるなら言わなくて良いよ。俺このままシロに会いたいんだ……会えなくなるのは嫌だ」 そう俺が言った後、少し沈黙の間があってシロは口を開いた。 「精通だよ」 「へっ」 「私が見えなくなるのは、精通したら見えなくなるんだ。その様子だとみずほはまだかな」
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