60人が本棚に入れています
本棚に追加
4.シロが消えない方法はひとつだけ
精通って、何だっけ……聞いたことがあるんだけど、と少し考えていると、シロは少し笑い、体を俺の方に近づけた。そして股間に手を伸ばし布の上からぎゅっと触る。
「うわ」
「これを使って、自慰するの聞いたことない?」
触られてピンときた。今度おすすめのものを持ってきてやると言った兄貴。兄貴はその時気がついたんだ。俺がまだオナニーをしたことないことに。
シロが見えなくなる、子供じゃなくなるのは、精通……つまり精液を放出してしまうことのようだ。確かに俺はしていないし、そう言う気持ちになったことがない。まあ知識がないわけではないけど……。健二郎が見せたDVDにドギマギするくらいだから。でもそれを借りてソコをいじろうなんて思ったことはなかった。
「それ、しなかったら俺はシロと会えるんだよな?」
シロの手が股間にあるのが何だか恥ずかしくて手を払い除ける。
「体に溜まったままだと病気になってしまうんだよ。だから……精通は避けて通れないし種の本能だ」
「でも、俺、シロが見えなくなるの嫌だ。シロは寂しくない? 俺と話できなくなったらまた一人になるんだろ?」
だんだんと感情が昂っていき、目頭が熱くなってきた。するとシロがふんわりと俺の体を抱きしめる。シロの体のいい香り。ばあちゃんの着物が置いてある箪笥の香りだ。
「みずほ、ありがとう。私のことをそんなに考えてくれて」
「シロ……」
「私もみずほに会いたいし、今までみたいにいろんな話を聞かせてほしい。だからといってその為に、みずほがずっと子供のままでいるべきではない」
「……」
「でもね、ひとつだけ例外があるんだ。みずほが大人になれて、私が消えない方法」
えっ、と俺はシロの顔を見る。金色の瞳がいつもより濃いくなって橙色になっていた。そして抱きしめていた片方の手が再び俺の股間に触れた。
「それは私が初めての精通をしてあげること」
シロの長い指が、直接それに触れた。他人に触れられることがこんなにくすぐったいなんて。
神社の裏の林に移動して、立ったままGパンと下着を下ろした。シロは向かい合って立ち、俺のそれをゆっくり触る。外気の空気とシロの指で、それはムクムクと膨張していく。
いつのまにかくすぐったいと思っていたのに、何だかソワソワするような感覚になっていた。シロの手が上下に動くたび背中がゾクリとする。今まで感じたことのない、感情。
最初のコメントを投稿しよう!