金木犀の丘

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 金木犀の丘で犯されてから三年間,富子は何度も男たちに呼び出されては性処理の道具として扱われ,毎回その様子を豊久に動画に撮られた。  豊久はスマホを構えて離れた場所から撮影するだけで,ネットの掲示板で集められた冴えない男たちが無抵抗の富子を好き勝手に犯し,豊久は目の前で性処理の道具として扱われる光景を楽しんでいた。  いつも富子は名前も知らない男たちに抱かれているときに,一度も富子を抱くこともなく歪んだ笑顔でスマホを構える豊久を不思議な気持ちで眺めていた。 「待ってて,ちゃんとあなたを殺してあげるから。金木犀の花が満開になったとき,私のすべてを奪ったあの場所で,私に生きる糧を与えてくれた素敵なあなたを無惨に殺してあげるから。もう準備はできてきてるの。その誰よりも綺麗で可愛らしいあなたの笑顔を私だけのものにするの」  いつ頃からかはわからないが,富子は豊久に対する憎しみと同時に,見ず知らずの男たちに抱かせて喜ぶ豊久に対する歪んだ愛おしさを感じていた。 「あなたにとって私は従順な玩具としか思えないだろうけど,私はあなたを愛しているし,殺すことが生き甲斐になった。私のすべてを奪ってめちゃくちゃにして,同時に生き甲斐を与えてくれたあなたには感謝してる。ああ……なんて素敵な地獄なのかしら」  そして男たちに抱かれながら,スマホを構える豊久をいつ,どうやって殺そうかと考えるのが犯されている最中の富子にとって最高の快楽へとなっていった。 「神様……私はあなたに感謝します……私を地獄に堕としながら,これほどまでの快楽を与えてくれて。何一つ手に入らないクソみたいな人生で,生きる目的を与えてくれて」  どこで誰に抱かれていようとも,富子の視界はいつも咲き乱れた橙黄色の花に埋め尽くされ,男たちに乱暴に扱われる身体は強烈な金木犀の甘い香りに包まれていた。 「ああ……なんて素敵な地獄なの……やっぱり神様は存在するのね……私にこんな素敵な快楽と生き甲斐を与えてくれて……なんて素敵な世界なのかしら……」
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