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対決の記憶
「おい! 本当なのか、小山内!?」
岐阜県警。
捜査一課に割り当てられた部屋で、綿貫が受話器を片手に大声を出す。
刑事たちはほぼ出払っている。
正面のデスクで腕を組んでいた亀田警部がチラリと顔を上げた。
受話器の向こうは、警視庁捜査一課に所属する小山内である。
綿貫とは学生時代からの友人でもあった。
『ああ……。死んでる』
普段から無愛想な小山内の声は、いつにも増して暗い。
「畜生……!!
だから深入りするなと言ったんだ!」
電話を切ると、綿貫は力任せにデスクを叩いた。
いつの間にか、傍に亀田警部が立っている。
「間に合わなかったか……」
綿貫があの日も現地に残っていたのは、何処か腑に落ちなかったからだ。
遺体から少し離れた場所で発見されたスニーカー。
あの違和感。気づかせてしまった。
「俺が殺したようなもんだ」
綿貫は苦しげに呻いて頭を抱えた。
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